日本脳炎予防接種について
北海道は、平成27年度まで「日本脳炎の予防接種を実施する必要がないと認められる区域」に指定されていました。このため、北海道では日本脳炎の予防接種を定期接種として実施していませんでしたが、北海道でもわずかながら感染の可能性があること、また道外や海外へ行く機会が増えたことなどから、平成28年4月1日から定期接種として実施することになりました。
詳しい定期接種の概要は次のようになります。
生年月日により対象期間が異なりますのでご注意ください。
定期接種対象者概要
平成21年10月2日以降に生まれたかた
基本的には標準的接種期間による接種となりますが、すでに4歳を超えているかたなど標準的接種期間により接種できない場合は、定期接種対象者要件の範囲で接種することができます。
次の図とともに生年月日ごとの接種条件などについてご確認ください。
標準的な接種期間
1期
- 3歳以上4歳に達するまでに1回目、2回目を接種
- 4歳以上5歳に達するまでに3回目を接種
注意:接種間隔は1回目から2回目が6日から28日、2回目から3回目がおおむね1年となります。
2期
9歳以上10歳に達するまでに4回目を接種
定期接種対象者
1期
生後6か月以上生後90か月に達するまでに3回目まで接種
注意:接種間隔は1回目から2回目が6日以上、2回目から3回目が6か月以上となります。
2期
9歳以上13歳に達するまでに4回目を接種
留意事項
- 平成25年4月2日以降に生まれたかたは、可能な限り標準的な接種期間による接種をお願いします。
- 平成25年4月1日以前に生まれたかたの内、4歳に達するまでの日数に余裕のあるかたは、可能な限り標準的な接種期間により接種をお願いします。 なお、近く4歳に達するかたやすでに4歳以上のかたは、3回目までを生後90か月に達するまでに接種間隔を考慮したうえで計画的に接種し、4回目は9歳以上13歳に達するまでに接種をお願いします。
- 生後90か月を超え9歳未満の間及び13歳を超えたかたは、定期接種の対象外となります。
ご注意
生後90か月までに1期接種3回を完了できなかったかたが、残り回数分を9歳に達してから接種することはできません。(任意接種として、中学3年までは半額、それ以降は全額自己負担で接種することは可能です。)
平成19年4月2日から平成21年10月1日までの間に生まれたかた
この要件は特例措置になりますので、生後90か月までに1期接種を完了できなかったかたは、残り回数分を9歳に達してから13歳に達するまでの間に接種することができます。
過去に接種歴のないかた
- 生後90か月に達するまでに1回接種できるかたは、2回目を9歳に達してから接種し、2回目から3回目は6ヶ月以上、3回目から4回目は6日以上の接種間隔により接種
- 生後90か月に達するまでに2回接種できるかたは、3回目を9歳に達してから接種し、4回目は3回目から6日以上の接種間隔により接種。
- 9歳以上のかたは、13歳に達するまでの間に、1回目から2回目は6日以上(標準的には6日から28日)、2回目から3回目は6か月以上(標準的にはおおむね1年)、3回目から4回目は6日以上(おおむね5年の間隔をあけることが望ましい)の接種間隔により接種。
過去に接種歴のあるかた
13歳に達するまでの間に6日以上(3回目の接種の場合は前回接種から6ヶ月以上)の間隔をあけて残りの回数を接種。ただし、既に生後90か月を超えているかたは、9歳に達するまでの間は定期接種の対象外となります。
留意事項
7歳6か月を超え9歳未満までの間および13歳を超えた場合は定期接種の対象外となります。
平成19年4月1日以前に生まれたかたで20歳未満のかた
この要件も特例措置になりますので、年齢に関わらず20歳に達するまでの間に1期と2期の計4回接種が可能です。
過去に接種歴のないかた
1回目から2回目は6日以上(標準的には6日から28日)、2回目から3回目は6か月以上(標準的にはおおむね1年)、3回目から4回目は6日以上(おおむね5年の間隔をあけることが望ましい)の接種間隔により接種。
過去に接種歴のあるかた
6日以上(3回目の接種の場合は前回接種から6ヶ月以上)の間隔をあけて残りの回数を接種。
接種可能医療機関
- 東神楽町国民健康保険診療所(小学生以上が対象)
- 杉山内科クリニック(旧ひじり野小池クリニック、9歳以上が対象)
- 旭川市内の医療機関(R5予防接種医療機関一覧 (PDF 172KB))
日本脳炎ってどんな病気?
「日本脳炎ウイルス」がブタなどの動物の体内で増え、そのブタを刺した蚊(コガタアカイエカ)がヒトを刺すことで、感染します。ヒトからヒトへは、感染しません。
感染しても症状が現れずに経過する場合がほとんどですが、症状が出る(100から1,000人に1人)場合は、6日から16日間の潜伏期の後に、数日間の高熱・頭痛・嘔吐などで始まり、光への過敏症・意識障害・けいれん等の中枢神経系障害(脳の障害)を生じます。脳炎を引き起こした場合、20%から40%が死に至ります。
日本脳炎の発症とワクチンの経緯
北海道を区域指定していた理由の1つは、「コガタアカイエカ」がいないということです。40年以上、日本脳炎の発症の報告はありません。その地域でかかる可能性が極めて低い病気に対して、年間11億円超ともいわれる交付税を使って定期接種とする必要があるのか、という意見があります。しかし一方で、北海道の子どもが旅行や就職で本州に行くことや国内・国外を問わず、さまざまな人が移動する中、媒介する蚊の移動もあるのではないか、また、本州から転入されるかたが予防接種を終了できないなど、さまざまな意見があり、議論されてきました。
また、このワクチンは、平成17年から平成22年まで重い副反応があり、「積極的に勧奨しない」時期がありました。以前の日本脳炎ワクチンは、マウスの脳の中で、ウイルスを増殖させ、精製・不活化して製造しており、マウス脳由来の日本脳炎ワクチン接種後に重症ADEM(アデム、急性散在性脳脊髄炎)を発生した事例があったことが原因でした。現在使用されている乾燥細胞培養日本脳炎ワクチンは、日本脳炎ウイルスをVero細胞(アフリカミドリザル腎臓由来株化細胞)で増殖させて、得られたウイルスを採取し、不活化して製造されたワクチンです。90ヵ月未満の小児を対象としたデータでは、予防接種を受けた1割から2割に発熱、咳、鼻水、注射部位の発赤等が出現します。また、厚生労働省のデータでは、平成26年10月から12月にかけて、延べ86万人に接種されたと推定され、13件の副反応報告のうち重篤とされたのは、6件(死亡0件)でした。
どの予防接種でも「副反応」は、症状の重い軽いはありますが、何万件に1回は必ず出現します。病気のリスクと副反応のリスクを考えた上で、「受けるか、受けないか」は、本人または保護者のかたが最終的に判断されますようお願いいたします。